ふらっとスペース金剛 代表 岡本聡子 メディアアーカイブ

2017.09.27

「食べない」「食べるものがない」と悩んだ子育ての日々  ~それでも大きくなりました!~

出典:ふぁみなび ぷろなび
http://fami-navi.jp/column/detail/123


◆母乳どれだけ飲んだか?ってどういうこと!?

長女が生まれてすぐの授乳から、大きく育てないといけない周囲からのプレッシャーにさらされていたことを思い出す。何cc飲んだか記録をつけるのは、私にとっては結構なストレスだった。そもそも、直接のんでいる子どもの授乳量ってどうやって量るの?と、かなりおとぼけな混乱をしていた。授乳前後に体重を量ってその差を飲んだ量として記録する、と聞いた時にはたいそう驚いたが、大真面目にしている周りの母親たちにならって実行していた。

しかし、これがいけなかった。記録をすると飲んだ量が気になり始める。飲んでない!少ない!と心配ごとが増え、途中で寝てしまう娘のほっぺをつっついたり、夜中にわざわざ起こしたりして授乳するようになる。

寝た子を起こすな!誰かあの時の私に言ってほしい。 機嫌よくおっばいを飲んで、元気やから心配せんでええ。もう記録やめたらどう?という祖母の一言で、そそくさと授乳記録を挫折した。

◆集中して食べない!食事の途中で寝てしまう!!

1回の食事時間が長いわりに、長女は少ししか食べなかった。周囲からは小食だの、食べないと大きくなれない、などと言われたことで、さらに必死で食べさせてはイライラするという悪循環を繰り返していた。食べていることに集中せずに、ぼーっとしたり、ほかの事を始めようとしたりする。挙句の果てには、食べている途中で居眠りを始めることもあった。眉間にしわをよせて「はやく食べ!」が口癖になっていた。

ごはんをあまり食べず困っていることを話した私に、義父(夫の父)は「食べない」という悩みが存在することに目を丸くして驚いた。戦時中は食料が不足して、お腹をすかせて育った子ども時代を記憶している人間からみれば、なんとも不思議な悩みに感じたようだ。

人間も動物なんやから、お腹すいたら食べるで。こんな小さな子どもが、頑固に断食する意思を持っているとは思えない、と話す義父の言葉に、なるほど!と妙に納得をしたことを覚えている。食べさせなくてはいけない!と追い立てられるような気持ちだったが、すっかり肩の力が抜けた。お腹がすいたらご飯を食べさせばいい、と気楽に思えるようになったころ、不思議なことだが確かによく食べるようになった。気にならなくなったから、そう思うのかもしれないが・・・。

◆食べるものがない!食物アレルギーの次女

「食べない」ことの悩みがふっきれたら、「食べられない」悩みがやってきた。離乳食の魚を口にしてアナフィラキシーショックを起こし、顔がパンパンに腫れて呼吸困難になった次女は、食べるものがあふれている時代に卵、乳製品、小麦を除去しながら食べられる食材を探しながら食べていく事になった。

アイスクリームってどんな味?ケーキってやわらかいの?チョコレートとサツマイモとどっちが甘い?などと無邪気に聞かれるたびに胸が痛かった。今では、アレルギー物質を積極的に摂取していく治療が主流になりつつあるようだが、17年前は、なるべく長くアレルギー物質を除去すれば食べられるようになるかもしれない、といわれていたので除去食づくりに励んでいた。

しかし、不安だらけだった。牛乳をぐびぐび飲んでいる子の中で、お茶しか飲んでいない娘。カルシウムが不足するんじゃないか?栄養は足りるのか?大きくなれるのかしら?と。そんな時、思い出したのが今は亡き義父の言葉だ。食べない長女の相談の時、強い意志で断食する子どもはおらん発言のあと、さらに、「大丈夫や。サツマイモのつるをかじっていたひもじい子ども時代やったけど、元気な年寄りになったで!」と続いたので、爆笑してしまった。

今でも卵、乳製品は食べられないが、元気な年寄りとまではいかずとも、適度に元気な高校3年生になっている。

◆それでも大きくなりました

食事のことだけでも、子育て笑い泣きのエピソードがあふれてくる。未来を悲観したり、現実のつらさに耐えかねたりすることもあったけれど、振り返ってみるとその時々が「思い出」に変わっている。

真っ暗で先の見えないトンネルの渦中にいるとき、「大丈夫や。その子なりに成長して大きくなる」と祖母が言った言葉に対して、無責任なことを言うなと激怒したことがあったが、その通りだったなぁ、と今は思える。

確かに、娘たちはそれぞれに大きくなりました!